更新日:2025年07月07日
留学?海外研修
卒業生のご活躍 ~中国人民大学への交換留学を経て~ Part.2
本学の交換留学プログラムを活用して中国人民大学への交換留学を行い、その後国際学研究科を修了後、交換留学を行った中国人民大学 外国語学院の博士後期課程で初めての外国人修了者となった卒業生 粟野友絵さんに、これまでの経験を振り返っていただきました。
略歴:
2011年4月 共立女子大学 国際学部へ入学、中国文化や社会に関する専門的な学修を開始
2013年9月~2014年1月 中国人民大学へ、本学より初めての交換留学生として派遣
2015年3月 共立女子大学 国際学部を卒業
2015年4月 共立女子大学 国際学研究科へ進学
2017年3月 共立女子大学 国際学研究科を修了
2017年9月 中国人民大学 外国語学院 博士後期課程に進学
2025年6月 中国人民大学 外国語学院 博士後期課程を修了
2025年9月 中国の浙江大学において日本語教諭として勤務(予定)
交換留学中にはたくさんの学びや出来事があって、特に印象的であったことを選ぶのが難しいです!強いてその中から「中国(中国人民大学)に留学して良かった」と恩恵を感じる出来事を一つ挙げますと、コロナの時期、大学側が外国人留学生にもワクチン接種を無料で提供してくれたことです。非常事態における中国の大学の対応に配慮を感じました。外国人が中国で留学する場合、現地の人との医療保険が異なるため、普段は倍以上の医療費や薬代がかかります。それが、コロナ禍の時には留学生も現地の大学生と同じく、無料でワクチンの接種が受けられたので、日本の家族を安心させることが出来、私としては最も感謝している出来事のひとつです。
留学中で一番困ったのは、「住」の問題でした。交換留学では共立生と同室でしたが、大学院の寮では二人部屋で、韓国の方と一緒に二年間共同生活を送りました。文化や生活習慣の違いに苦労しました。時にはお互い険悪になることもありましたが、ルールを決めてお互いの不満を解消し、和解しました。この経験を通して、コミュニケーションの難しさを改めて実感しました。お互いの気持ちや意見を尊重し、話し合って向き合うことが解決の鍵であることを学びました。
博士課程においては、中国人民大学外国語学部日本語科日本古典文学コースに在籍しておりました。専門は近世文学、具体的には十八世紀以降の漢文笑話について研究しました。江戸時代における知識層の文芸活動に漢文は欠かせません。中には、日本の笑い話を漢文に訳した作品があり、この研究を通して当時の人々が、日本の笑いをどのように漢文で表現したのかについて深く掘り下げました。
留学先で日本文学について研究していることについて、よく周りから驚かれ、「日本のことなのにどうして外国で研究するの」と不思議に思われます。研究のきっかけはまさに留学です。大学三年次に中国人民大学に語学留学したことを機に、日本について研究しようと思いました。
日本を離れてから、日本について考えることが多くあり、その延長線上で進学の道を選びました。また、書籍やSNSの書き込みを通じて、中国の方々がどのように日本を捉えているのかを知るのも面白いです。外国の言論や視点を借りて日本をみること、これが留学の醍醐味だと思っています。
あくまでも個人の経験に基づく意見ですが、「外国語で活躍したい」と考える方への助言です。
グローバルに活躍するためには、まず外国語をしっかり学ぶことが大事です。コミュニケーション能力も高める必要があります。例えば、書籍や新聞、ドラマが理解できるレベルを目指すと良いでしょう。日本語教師の資格を持つことも、将来の選択肢を広げる一つの方法です。
心構えについて、グローバルな舞台で活躍したいのであれば、外国語を学ぶことは出発点に過ぎないと意識することが大切です。外国語はツールであり、翻訳サイトやAIなどと同じように未来の技術で補える部分があります。だからこそ、外国語だけでなく、自分にしかできない特別なスキルを持つことが強みになります。
外国語を一生懸命学んでも、就職活動でうまくいかないこともあります。私が知っている限り、留学経験や外国語スキルを活かせた人は、「自分が日本語と外国語を使って何をしたいのか」「自分ができることは何か」をしっかり考え、明確にしていた人たちです。
グローバルな場で外国語を使うことは「入場券」のようなもの。
重要なのは、その先で「自分がやりたいこと」「自分だからできること」を見つけ、大学での学びを通じてそれを実現する力を身に付けることだと思います。
卒業したら大学講師の職に就き、中国の大学で日本語教諭として働く予定です。中国は広大な国土を有しているので、転々と勤務先を変えて各地の風土や文化を感じたいと思います。将来的には、日本も視野に入れて、研究者または教育者として活躍したいと思います。
共立の魅力は都心という立地条件です。どこでも勉学はできますが、都心で学ぶことに魅力を感じない人はいません。今後は、共立の学びが海外でさらに認知されることが重要だと感じています。現時点では中国における共立の知名度はまだ低いため、卒業生としてその学びを中国で活かすことを目指しています。私自身の取り組みを通じて、大学の国際的な認知度向上にも貢献したいと考えています。
まず、自分がどのような先生のもとで、どの分野の研究を行うかを明確にし、その研究分野における海外の最新の動向を把握することが重要です。他大学のセミナーや講演会などにも参加すると、思わぬ情報や知見を得ることができます。フットワークを軽くし、自分から色んな物事へ興味を持つことで、将来の進路やキャリアに対する視野も広がり、より具体的な目標設定が出来、そこからグローバルに繋がる選択肢が増えると思います。
近年、日本は外国人の受け入れに対して以前よりも柔軟になり、たくさんの外国の方が来日しています。思うに、外国人向けのサービスが向上し、より国際的な環境が整ってきているからです。共立女子大学は、リーダーシップを持つ人材を育成することを重視しており、さらに国際学部ではグローバルな視点を取り入れた教育が行われています。私自身も、OGとして模範となるよう、これからも精進し続けたいと考えています。
粟野様の更なるご健勝とご活躍を、教職員一同、心よりお祈り申し上げます。
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